建 物 が 誕 生 す る ま で の 軌 跡

 
どのような手順を踏んで建物が完成を見るのかを、写真と解説を加えながら順次説明をしていきたいと考えています。
下記の分類に沿って進めていきます。     

A.設 計 以 前
       
B.設 計 段 階
       
 B−1.基本設計
 B−2.実施設計(意匠設計、構造設計、設備設計)

C.施 工 業 者 選 定       

D.工 事 監 理
   
  
       

A.設 計 以 前
 
 A−1.敷 地 の 選 択 に つ い て

  これにつきましては、これ迄の経験では、既に敷地が確定していて、その敷地に最適な建物の設計を行う場合が殆どでしたが
これから土地を購入しようと思っておられる方の為に、簡単に土地選びで注意する点を述べたいと思います。
  
  A−1−1.法 的 考 察
  
  土地は色んな法規制が有りますので、まず法的な側面から考えていきましょう。
  どんな土地でも、都市計画法によって2種類に分類されています。
   
   1.都市計画区域内
   2.都市計画区域外
   
   さらに各区域が下表の様に分類されています。
   
区域の別
許可が必要な行為










市街化区域
規模が1000u以上の開発行為
(桑名、四日市等は500u以上で規制)
市街化調整区域
規模に係わらず全ての開発行為
未線引都市計画区域
規模が3000u以上の開発行為






準都市計画区域
規模が3000u以上の開発行為
準都市計画区域外の区域
規模が10000u以上の開発行為

  かなり専門的ですが、端的に言えば、「市街化調整区域」の土地にはかなりの規制があり、慎重に対処しないと
  建物が建てられなくなりますのでご注意下さい。
  
  市街化調整区域は市街化を抑制する区域ですので、まず一般(農林漁業従事者又はその分家以外)の方は余程の
  事が無い限り建物が建てられないとお考え下さい。
  
  最も一般的な区域は「市街化区域」です。そして、不動産屋さんが勧める土地もこの区域の土地であろうと思われます。
  その事をまず確認して下さい。

  そして「市街化区域」も12種類の「用途地域」に細分されています。読んで字の如く、建物の用途によっては建てられない
  地域がありますのでこれも注意が必要です。下表の用途地域に分類されています。


  
用 途 地 域 の 種 類
地 域 の 特 徴
 @第一種低層住居専用地域  低層住宅の専用地域
 A第二種低層住居専用地域  小規模な店舗の立地を認める低層住宅の専用地域
 B第一種中高層住居専用地域  中高層住宅の専用地域
 C第二種中高層住居専用地域  必要な利便施設の立地を認める中高層住宅の専用地域
 D第一種住居地域  大規模な店舗、事務所の立地を制限する住宅地のための地域
 E第二種住居地域  住宅地のための地域
 F準住居地域  自動車関連施設などと住宅が調和して立地する地域
 G近隣商業地域  近隣住宅地の住民のための店舗、事務所などの利便の増進を図る地域
 H商業地域  店舗、事務所などの利便の増進を図る地域
 I準工業地域  環境の悪化をもたらす恐れの無い工業の利便の増進を図る地域
 J工業地域  工業の利便の増進を図る地域
 K工業専用地域  工業の利便の増進を図るための専用地域

  以上が「都市計画法」による土地の区分内容です。
  
  そして、この用途地域に沿って、「建築基準法」で下記の項目が細かく制限されています。
  
  1.建物の用途制限(用途地域に建ててはいけない建物の用途を決めている)
  2.建蔽率(建物が敷地に落とす影面積の敷地面積に対する比率)
  3.容積率(建物延面積の敷地面積に対する比率)
  4.建築可能な建物の高さ(道路の幅による高さ制限、隣地に対する高さ制限、真北方向に対する高さ制限等)
  3.建物が落とす日影の制限
  4.その他

  道路についての法規制

  土地は道路に接して居て、初めて建物が建てられる敷地と認められます。
  従って、幅4m以上の道路に接していて、しかもその道路に接する道路境界線の長さが2m以上必要です。
  もし、接する道路の幅が4m以下ですと有効敷地面積が減ってしまいます。

  例えば、接する道路幅が3mですと、その道路の中心線から2m下がった位置が道路境界線と見なされますので
  敷地が50cm分狭くなってしまいます。その為に、有効面積が狭くなり、建蔽率や容積率はこの有効面積で
  規制されますので、建てられる面積が厳しくなり注意が必要です。図面@を参照して下さい。

図面@


  以上が土地に対する法的規制のあらましです。いずれにしても事細かに規制が張り巡らされていますので注意が必要です。

  A−1−2.構 造 的 考 察

  土地は外から見ても分からないですが、固い地盤とそうでないものとが有り、又固い地盤でもその位置が
  どれくらいの深さに在るかにより、基礎の工事費が随分変わってきます。木造2階建て程度を建てる場合には、支持層に
  それ程神経質になる事は無いですが、鉄筋コンクリート造や鉄骨造を建てる場合は、可能な限り固い地盤の土地を
  購入される事をおすすめします。

  固い地盤がどの程度の深さの位置にあるかは、地質調査会社が近隣の過去のデータを持っていればそれを目安に
  想定することが可能ですし、市町村によってはかなりの地質調査資料を完備していますので、役所に問い合わせることも
  有効な方法だと思います。
  
  又、土地を購入するか否かを決めるに際し、地主さんに地質調査をしてその結果で判断したいと申し入れれば、
  調査を了解して頂ける方も居られますので、買い主の調査費負担で是非そうされる事をおすすめします。
  地質調査のあらましの写真@(ボーリングと標準貫入試験)を参考にして下さい。

写真@


  いずれにしても、これから土地を購入しようと思っておられる方は、契約前に必ず専門家にご相談下さい。


 A−2.設 計 事 務 所 の 選 択 に つ い て

  この件に関しましては、本ホームページの雑感1−6の中で述べていますので、一度お目を通して頂ければ幸いですが
  簡単にまとめますと、

  「信頼できる設計事務所とは、施工業者から依頼された仕事にたずさわっていなくて、情熱が有り、技術力があって、
  感性と経験が豊富である事務所」と言えると思います。

  この事を基本に、設計事務所の本質をよく見極めて選択される事をお勧め致します。


B.設 計 段 階
       
 B−1.基 本 設 計

  今回の場合は専用住宅について述べてみたいと思います。しかし住宅以外の用途の建物も大差は有りません。
  乱暴な言い方かも知れませんが、むしろ住宅の設計が出来れば、余程特殊な用途の建物以外は設計出来ると
  思っております。スケールの把握を間違えなければ。
  
  基本設計とは、敷地と設計条件(予算、施主様の要望等)を提示して頂いて、諸々の規制
  (法律、構造、気にされる方であれば家相等)を考慮し、それをクリアーしながら、敷地と施主様にとって
  最良且つ唯一無二の建物を私自身の頭の中に創りあげる事を言います。
  その為に幾つかの準備が必要です。それを順次述べたいと思います。
  
  B−1−1.法 的 チ ェ ッ ク

  A−1−1.の敷地に関する法的考察の項で述べましたが、敷地には法的規制が事細かく張り巡らされて います。
  その規制を先ずチェックします。そしてその敷地に建築可能な建物の用途、高さ、建築面積、延面積等を把握します。
  法はあくまでも、人間が健康で文化的な生活を営む為の必要最低限の規定ですから、これさえもクリアー出来ていない
  建物は失格と考えるべきですし、違法建築物はやはり欠陥建築物と考えるべきだと思います。
  チェックシートについては敢えて掲載しませんが何百項目にもわたります。
  (都市計画法、建築基準法、消防法、民法、土地区画整理法、下水道法、浄化槽法等)

  B−1−2.敷 地 調 査

  
敷地が施主様から提示されましたら、早速現地に赴き、敷地調査を行います。
  先ず、敷地の測量を行います。正確な測量図を施主様から頂いた場合でも、念の為に、その寸法を当たります。
  そして、道路上に在る桝等を基準の高さ(ベンチマークと言います)にして、敷地の各部分と道路の高さを測ります。
  
  その他、側溝の有無、側溝の幅と深さ、電柱の位置、水道とガスの引き込み位置、公共下水が敷設されている場合は
  敷地内の最終桝の位置、隣地の建物の位置とその建物の窓や換気扇の位置等、今度建てる建物に影響を与えると
  思われる要素を全て調査し、計画の基本となる敷地調査表を作成します。

  何より大切な事は、その土地が存在する廻りの環境です。町並みの雰囲気等をよく観察して、設計する建物が
  しっくりととけ込みながらも自己主張できる存在で在り得る様に何度も現地に足を運びます。




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