N歯科医院新築工事、工事完了までのすべて

                                      
間もなくN歯科医院が竣工します。着工から竣工までのステップを写真と解説で順次説明をしていきたいと考えています。
 (2007-3-6)

N歯科医院さんは桑名の旧市内、伊賀町に在り、ここで既に30年近く歯科医院を開業されておられます。
先生のお父さんがこの地に内科医院を開院されたのが今から47年前で、当時としては結構珍しい、鉄筋コンクリート造です。

そして先生がこの内科の2階を30年前に改造と増築をされて今の歯科医院を開院され現在に至っています。

しかし、旧市内の患者さんは高齢化が進み、2階の歯科医院まで階段でのアプローチが大変になり、2階の歯科医院を1階に移転させる計画を持たれて、以前から患者としてお世話になっていた私に相談を持ちかけられました。

しかし、既設建物は築50年近くになり、近い将来起こるとされる地震にも耐えうるかどうか、又、既設の構造体に制約されて使い勝手の良いプランが上手く作れない可能性が大との意向をお伝えし、既設の木造住宅を取り壊して、診療所を新築し完成後に既設診療棟を取り壊して駐車場にする案をお奨めしましたが、患者さんの今後の動向や先生の年齢等を熟慮され、一度は一階への移転を決意されました。

そして実施設計を行い、3社の建築会社さんに見積もりをお願いしましたがやはり、既設の矩体が老朽化している事や、実際に工事に入って予期せぬ事態を考慮してどうしても割高になってしまいました。

先生には大変ご迷惑をお掛けしましたが、同じ予算をかけるのであれば「さっぱり」と取り壊して、新しい診療所を造る事に賛同して頂き、先生のご配慮にとても感謝致しました。

ただ、私にとっては言葉で「さっぱり」と簡単に言いますが、先生や奥様、先生のお母様にとっては思い出が一杯詰まった建物ですから、実際に取り壊しということになった時は寂しい思いをされておられる様子で、私もこみ上げる物を感じてしまいました。



着工から竣工までの解説ステップ
地 鎮 祭 遣形(やりかた) 転圧・砕石敷き 配筋検査 コンクリート打ち
生コン材料試験        
                 
                 


2006-10-10(火)地鎮祭
敷地南側に在りました木造の住宅を解体・整地をして快晴のもと先生、奥様、私、それに建築会社の社長、監督が出席して地鎮祭を執り行いました。前方に建っている建物が既設の診療棟です。

写真1 地鎮祭の様子

「地鎮祭」は工事に先立ち、土地の神を祝って敷地を清め、工事中の安全と建築物が何事もなく永くその場所に建っていられることを願うお祭りです。

地鎮祭につきましては建築会社が全て準備いたします。
写真1の様に笹竹、注連縄、紙垂、砂、鎌、鍬、鍬、祭壇、お供え物(米、清酒、塩、水、山海の珍味等)は
全て建築会社が準備をして、建築主様は神主さんへのお礼だけを用意して頂きます。

又、神主さんも建築主様にお知り合いが居られれば建築主様からお声をかけて頂き、もしお知り合いが無い場合は建築会社が知り合いの神主さんにお願いして行います。

地鎮祭が終わりますと、その場で直会(なおらい)を行います。
これは御神酒で乾杯をして地鎮祭の終了のお祝いと工事の無事を祈ります。

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遣形(やりかた)

地鎮祭が済みますとすぐに遣形をおこないます。
遣形とは基礎工事にかかる前に、図面で示された建物の位置を現地で杭を使って表す事を言います。設計事務所の検査後に
建築主様に説明をして建物の位置を確定します。

図面の段階で建築主様には説明し、了解を得ていますが、実際に建物の配置を現地で分かりやすく表し再度建築主様に
確認をします。

場合によっては、「もう30cm東にずらして下さい」と言う要望が建築主様から出されることがあります。
図面では分かりにくい場合でも実際に現地で確認するとよりはっきりと実感する事が出来るからです。

これが確定すると基礎の位置が決まりますから基礎工事にとりかかります。

写真2 遣形の様子

写真2は遣形の様子を示しています。 尚、高低も建築主様に説明をして確定します。
前面道路の、動くことの無い目標物(マンホールの蓋等)を基準高さにして設計GL(地面の高さ)を確認します。
N歯科さまの場合は先生の要望で当初の予定よりも10cm地面を高くしました。
ここの敷地は比較的低い位置にあり、洪水等で困らない様にとのことでした。


転圧・砕石敷き

基礎の位置が決まりますと地盤に圧力をかけて固めます。これを転圧と言います。
ローラーで転圧します。N歯科さんの場合は50年近く建物が建っておりましたので地盤自体はかなり締まっていましたが、念の為にしっかり転圧して、基礎の下に砕石と言う石を厚み20cm敷き詰めてさらに転圧をします。

写真3

写真3は砕石を敷き詰め、転圧をして、砕石の厚みが20cmある事を示す写真です。

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配筋検査

写真4は基礎の配筋検査時の写真です。
砕石を敷き詰め、転圧後は、地下から湿気が建物内に入って来ない様に防湿シートを2重に敷き込みます。
シートの材質はポリエチレンです。
写真4の少し光って見える部分が防湿シートを2重に敷いた物です。
2重に敷く理由は、1重ですと砕石の角で破れやすいからです。
コンクリートを厚み12cm以上打てば湿気は入って来ないと言われますが
コンクリートはクラック(割れ目)が入ったりしますので念の為に入れます。
そして、この上に鉄筋を配置して、基礎のコンクリートを打ちます。

写真4

N歯科さんの場合の基礎はベタ基礎です。
ベタ基礎とは建物の下に一枚のコンクリートの板を作ってしまいます。
そうする事に依って、もし一部分が柔らかい地盤で有ってもそこの基礎が沈む事が有りません。
一部分が沈む事を不動沈下と言います。この不動沈下を避ける為です。

そして鉄筋は餅網の様に2重に縦横同じ間隔で並べ、細い針金でくくりつけます。
これを結束すると言います。

そして下筋は砕石から持ち上げ、上筋は基礎の上端から下げます。これを「かぶり」といいます。

 配筋検査では
1. 鉄筋の太さが指定のものを使っているか→鉄筋径のチェック
2. 鉄筋の縦横の間隔は図面通りか    →ピッチのチェック
3. 上下筋の位置は良いか        →かぶりのチェック
                          を行います。そして写真4の様にスケールを当てて写真撮影をします。

上記の配筋検査は基礎の底板の配筋検査ですが、底板の配筋が終わりますと今度は各部屋の仕切壁の下に
配置するコンクリートの壁の配筋を行います。
又外周の壁の下に配置しますコンクリートの壁の配筋も同じです。その配筋も含めて全て配筋の完了した写真が「写真5」です。

写真5

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コンクリート打ち

配筋が終わると型枠で鉄筋を囲い、鉄筋と型枠が規定の空きがあるかをチェックし、合格すると、いよいよコンクリートを打ちます。
つまり型枠で囲まれた部分にコンクリートを流し込むわけです。

写真6

写真6はポンプ車でコンクリートを圧送して型枠内に流し込んでいる様子です。

ホースが見えますが、このホースの先端の位置も規定があります。
余り高い位置からコンクリートを落下させると生コンのセメントと骨材が分離して所定の強度が確保出来なくなるからです。
その位置は1m以内と規定されています。
又、今回の基礎はベタ基礎なので鉄筋間隔があいているのでコンクリートのまわりが良いので問題は無いのですが、
鉄筋が混んでいる場合には、コンクリートのまわりを良くする為にバイブレーターを使用します。
このバイブレーターも使い過ぎると生コンの分離を助長する事になりますので注意が必要です。
一番良い方法は型枠の外から金槌等でこまめに叩いて振動を与え、コンクリートが鉄筋廻りに満遍なく流れ込む様にする事です。

コンクリート打ちが終わって表面を綺麗にならした様子が写真7です。

写真7

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生コンクリート材料試験

コンクリート打ちを行う前に、施工業者さんから「レディーミクストコンクリート配合報告書」を提出してもらい内容をチェックして合格ならばこれに準じて生コンクリートを配合して打設時に現場に納入してもらいます。

「レディーミクストコンクリート配合報告書」には強度、スランプ値、骨材のサイズ、水の量、セメント量、等が記載されています。

スランプ値とはコンクリートの流動性を示す数値で、スランプ値が大きいと流動性が高く小さいと流動性が低くなります。

打設場所に依って決めますが、鉄筋の密度が高い場合にはクンクリートの「まわり」を良くする為にスランプ値を大きくして流動性を良くして鉄筋廻りにコンクリートが十分行き渡るように設定します。

写真8は、ミキサー車からポンプ車に送られる生コンを設計事務所の指示する時点で採取してスランプ値が配合報告書通りになっているかを試験している様子です。

写真8

写真9はスランプ値以外の試験結果を示しています。 空気量、塩分濃度、コンクリート温度、外気温度等を測定します。

写真9

写真9の左側に6本の鉄筒が写っていますが、これはテストピースと言います。
このテストピースは、打設してから4週目に所定の設計強度が実際に出ているかを破壊試験をする為に確保しておくものです。

写真10が破壊試験を行い、その結果を撮影したものです。
6本を3本づつ別の状態で保管します。
1方は標準養生と言って工場で水中に保管します。
他方は現場で実際に打設されたコンクリートと同じ状態で保管します。

一般的には、現場保管の方が強度は低くでます。この試験は公的機関で破壊試験を行います。

これらの試験はハウスメーカがコンクリート打ちの際に現場で行うことはまれです。しかし、この試験はとても大切です。
そしてテストピースは必ず取って破壊試験を行わないと、所定のコンクリートの強度が得られて居るかを判断する事は出来ません。

写真10

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以下に着工から竣工までのステップが写真と解説で順次続きます。








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