雑感1-1: 住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 欠陥住宅とは


 近頃マスコミ等で盛んに、欠陥住宅、手抜き住宅が取り上げられております。
何故この様な現象が起きるとお考えでしょうか?

 住宅に限らず、建築物は着工から竣工までの工事期間中に、多業種の、そして多数の人間(職人等)が
入れ代わり立ち代り現場に出入し、採算がとれるように各自の仕事をこなしていきます。
その集積の結果が一個の建物として完成をみるわけです。この際に「しっかりとした設計図」
「工事が図面通り行われているかをチェックする監理者」が居ないと次の様な事がおこります。

 或る職人Aさんが現場へ仕事に行ってみると「しっかりした設計図」は無く、現場監督も居ません
すると彼は、建物全体の中での自分の仕事がどの様なもの(納まり)かを想像して仕事を
こなさざるを得ません。なぜなら、工事期間が決まっており、且つ採算を合わせるためには、何度も現場に
足を運び、他の業種の職人さんたちと時間をかけて打ち合わせをしている余裕がないからです。

 そして、その後にその現場に入った別の業種の職人Bさんは、既にできあがっている部分に合わせて
自分の仕事の納まり想像して仕事をこなしていかざる得ません。この様なかたちで工事が進んで
いきますと、後になるほど全体のつじつまが合わなくなってしまいます。
それでも工事を止めて元に戻すことは誰にも出来ません。

 誰一人として悪意の無い人が工事を進めても、この様な結果になってしまうのは想像に難くないでしょう。
これが欠陥住宅です。

 その中に、もしも一人でも「無責任な金の亡者」が介在すれば、結果は火をみるより明らかです。
これが手抜きによる欠陥住宅です。

 欠陥住宅は、一番大切な、「しっかりした設計図」「工事が図面通り行われているかをチェックする
監理者」
を省略する事が原因で、不完全な建物がおのずと出来上がってしまうのです。
                                            
                                                    2005年5月15日
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 雑感1-2: 住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 本当の設計図とは


 本当の「しっかりした設計図」とは、単なる間取りを書いた平面図と、外観の姿図
だけではしっかりとした設計図とはとうてい言えません。これは意匠設計図のほんの一部です。

 私の言う「しっかりした設計図」とは、* 意匠設計、* 構造設計、* 設備設計の各々の
「建物の全体をつかむ図面」
から「各部分を拡大した数々の詳細図」を含めたものをいいます。

 そして、工事が始まると、現場監督(監理者ではありません)が設計図を理解して、職人が一目みて
分かるような施工図を再度作成し、それを職人に説明して、初めて職人が仕事にかかります。
そこまでやっても、何かの不手際が起こって、工事を止めて、やり直しをお願いする事が時々有ります。

 欠陥住宅は一番大切な、「しっかりした設計図」と、「工事が図面通りに施工されているかを
チェックする監理者」を省略する事が原因で、不完全な建物がおのずと出来上がってしまうのです。

 
 註) * 意匠設計:建物のデザインに関する設計(間取図、姿図、断面図、展開図、建具図、各詳細図等)
     * 構造設計:建物の強度に関する設計(構造計算、部材リスト、軸組図、各詳細図等)
     * 設備設計:電気、給排水、衛生、ガス、換気、空調等の設計

                                               2005年5月15日
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 雑感1-3: 住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 建物の設計から竣工までの流れ


 私は、一つの建物が出来上がるまでの本来の順序(本流)を次の様に考えます。
これは、建物の規模及び予算の大小にかかわらずあてはまります。

建物が完成するまでの流れ(本流)
 
 1. 建築主が敷地確保
 
 2. 建築主が「信頼のおける設計事務所」に設計・監理を依頼
 
 3. 設計事務所は、建築主が希望する建物の構想を、予算を考慮して時間をかけて練る
 
 4. 設計事務所は、練り上げた構想を建築主に呈示し、了解を得て基本計画を決定する
 
 5. 設計事務所は、基本計画に沿って実施設計(意匠設計、構造設計、設備設計の詳細図等を作成)を行う
 
 6. 設計事務所は、役所に確認申請を提出し、確認をとる
 
 7.建築主名で「信頼のおける複数の工務店」に、同時に実施設計図を渡して見積を依頼する
     (図面渡し、現場説明、見積要項の説明等は設計事務所が行う)
 
 8.設計事務所は、工務店から同時に提出された見積書の内容をチェックする
     (過積算、拾い落とし等が無いかを)
 
 9. 「最良の工務店」見積額が安くて技術力が有る)を選択し、建築主と施工者が工事契約を結ぶ
     (工事契約には設計事務所が立ち会う)

10.設計事務所は工事着工から竣工まで、設計図通りに工事が行われているか工事監理を行う
     (工務店に、現場監督を現場に常駐させてもらう)

11.設計事務所が最終の建物検査を行い、役所の建物検査に合格し建物を建築主に引き渡す

12.完成後も建物に不備な点が発生すれば、設計事務所が施工者に通知し不備な点を解決する

 この様な手順を着実に踏まえることによってのみ、安心できる、より良い建物を造り上げる事が
可能だと考えます。
                                              2005年5月15日
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 雑感1-4: 住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 設計・監理料について


 建築主さんの中には、「設計監理料がもったいない」と考える方もおられるでしょう。
施工者に直接、設計施工で依頼すれば、設計監理料は節約できると。
つまり、本流の逆(逆流:先に建物を建設する人を決めてしまう事)になるわけです。

 しかしよくお考え下さい。設計施工で依頼された施工者も、建築主に呈示する基本計画を作成するために、
計画・設計に 慣れた建築士に外注として依頼します。そこで既に経費がかかります。
仮に設計者を雇っている場合には、その人に給料を支払わなければなりません。

 そして、建築主は設計施工で依頼する時に工事の予算額を伝えます。
これは、設計事務所に直接依頼する場合も同じです。しかし明らかに違うのは、設計事務所が直接依頼
された場合は、予算内で自分の作品として少しでも良い建物を残したいと努力を惜しみません。
なぜならば、設計事務所が主体となった作品になるからです。

 ところが、「逆流」で、施工者から設計を依頼された設計事務所は、事務所の名前が出ない場合は、
(ほとんどの場合がこのケースだと思います)適当に設計して予算内に納め、お客さん(施工者)
少しでも儲かるような設計に始終しがちになります。
なぜなら、そうする様に、お客さん(施工者)から要求される事がほとんどだからです。

 本流の場合、建築主は設計者と施工者の両方の「お客さん」ですが
逆流の場合、建築主は施工者の「お客さん」ですが、設計者の「お客さん」ではありません。
逆流の場合の設計者の「お客さん」はまさに「施工者」だけなのです。そこが明かな相違です。

 又、施工者が設計者を雇っている場合も、ほぼ同じ事が言えると思います。
施工者に雇われている設計者は、施工しやすい設計に走りがちですし、工事が始まってから
施工しにくい設計がされている事に気づいた場合は、施工者が勝手に施工しやすい安易な方法に
変更してしまっても建築主には分かりません。

 良い建物とは、設計者と施工者がお互いにそれぞれの立場で前向きな意見を出し合い、
切磋琢磨して、しのぎを削ることで出来上がる物なのですから。

 それに、設計料も含めた工事額では、工事費と設計料の区別が不明瞭ですし、工事費自体も
適正であるかは不明です。

 そして、何にもまして決定的なことは、工事の内容を第三者がチェック出来ないことです。
「げす」な表現ですが、依頼した予算からいくら「ピンはね」されても分からないのです。
ただ施工者を盲目的に信じるのみです。

  以上の様な理由から、施工者に直接、設計施工で依頼して支払う、決して安くない不明瞭な
「工事費に含まれた設計料」よりも、多少高くとも

(これまでの経験から、数社の工務店から見積をとることにより、一社しかとらない見積よりも、
明らかに 「設計監理料」 以上安くなる場合が多い)

明朗会計の「設計料」+「監理料」を支払い、高価な買い物(建物)を価値あるものにされる事を
自信を持っておすすめいたします。

                                                 2005年5月15日
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 雑感1-5:住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 施工業者の選定について


 実施設計が完了しますと、信頼できる数社の工務店に同時に実施設計図を渡し、
建物の規模にもよりますが、約1週間から1ヶ月かけて見積もりをして貰い、同時に見積書を
提出して貰います。

 そして、それぞれの工務店の見積書の内容をチェックし、「過積算」や「拾い落とし」が無くて、
予算内に収まれば、建築主が工務店と工事契約結び、契約後に工事を開始し、竣工まで設計事務所が
工事監理を行い、完成後に建物を建築主に引き渡します。

 しかし、建築主さんの中には、既に「信頼のおける工務店」をご存知の方もおられます。
その場合には、特定の工務店に見積もりをお願いし、工務店から提出して頂いた見積書の内容をチェックし、
「過積算」や「拾い落とし」が無くて、予算内に収まれば工事契約を工務店と結び、契約後に工事を開始し、
竣工まで設計事務所が工事監理を行い、完成後に建物を建築主に引き渡します。

 この場合も、第三者(設計事務所)の工事監理は必要不可欠のものだと確信いたします。

 又、或職種の人(例えば、建具屋さんや内装屋さん等)の知り合いがおられる場合は、その工事だけ
別途工事として設計事務所が監理するか、工務店に見積を依頼する時に、その知り合いから見積を
とるように指示して、工事を行って頂くことになります。

                                                     2005年5月15日
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 雑感1-6:住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − 信頼できる設計事務所とは


 「信頼できる設計事務所」とはどんな事務所でしょうか?
もちろん、情熱が有り、技術力あって、感性と経験が豊富であることは言うまでもありません。
しかし、それにもまして大切な事があります。

 それは、逆流の仕事(建設業者の下請け仕事)にたずさわっていないと言う事です。

 「逆流」の仕事に携わっている設計事務所に依頼をしますと、見積もりを依頼する「信頼のおける工務店」を選定する際に、中立の立場がとれずに、普段仕事をもらっている工務店に見積もりを廻そうとしてしまいます。

 「工事を依頼する工務店」を選定する場合にも同じ事が言えると思います。
又、工事が始まって監理をする際に、「お客さん」である工務店の工事の内容を厳格に
チェックすることが可能でしょうか?

 以上の結果から、「信頼できる設計事務所」とは、建設業者の下請け仕事にたずさわっていなくて、
情熱が有り、技術力があって、感性と経験が豊富である事務所と言える思います。

                                                   2005年5月15日
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 雑感1-7:住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − ハウスメーカーについて (a)

 住宅に限らず、建築物は全て敷地に建てられ、その敷地は世界に一つとして同じものは存在しません。
又、住宅については、そこに住まう家族は世界に唯一無二のはずです。ところが、「・・・シリーズ」と称して、
一部のハウスメーカーはマスコミで大々的にコマーシャルを展開しています。
まるで全ての日本人のライフスタイルが全く同じであるかの様に。

 そして多数の人がモデルハウスを見学し、自家用車を購入する感覚で住宅を買い、そしてその住宅に
自分達のライフスタイルをあわせてしまっています。
車は2〜3年で買い替えが出来ますが、住宅はある意味で一生の買い物です。
住みにくいからと言ってすぐに買い替える訳にはいきません。

 そんなわけで、最近は殆どのハウスメーカーも、買い主のニーズに一見合わせる様に自由設計と称して、
基本形から間取りを変更して対応しています。
しかし、この場合には、「しっかりとした設計図」が充分に用意されているのかは疑問です。
まして、各現場毎に現場監督を常駐させている風でもありません。

 この様な状態であれば欠陥がおのずと発生してしまうことはご理解していただけると思います。

                                                2005年5月15日
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 雑感1-8:住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ − ハウスメーカーについて (b)


 ハウスメーカーの建物の価格についてですが、本来、プレハァブハウスは、同じものを工場で
大量に生産することにより、坪単価が下がることを「売り」にしてきたはずです。

 ところが、建築主の要望に一見応える「自由設計」となると、画一的でないことが坪単価を引き上げます。

 また、あのマスコミに登場する異常とも言えるコマーシャルの料金と、多数の営業マンの給料は
一体誰が負担しているのでしょうか。家を建てる建築主が負担しているのです。

 また、ハウジングセンターに展示されているモデルハウスは「最高のタイプ」が展示されていて、
数々のオプションが付加されているので豪華にみえるそうです。
坪単価とオプションの見極めをしっかりして契約を交わさないと、出来上がった住宅とハウジングセンターの
モデルハウスとの落差に愕然とすることになりそうです。

 あるハウスメーカーに住宅を注文した方が、工事が進み、図面段階では気づかずにいた部分が
気に入らず、当事務所に「工事全体のチェックをお願いしたい」と依頼に来られました。
しかし、この依頼をお引き受けすることは不可能に近いのです。

 なぜならば、既に出来上がっている部分を設計事務所が検査して、もし「好ましくない工事」
見つかった場合に、「しっかりとした設計図」が完備されていれば、その図面通りに修繕することを
要求することは可能です。

しかし多くの場合、それが不備の為に修繕を要求することが難しいのです。
「これが当社の仕様です」の一言で全てが決着してしまいます。

 しかし、建築士が一度チェックした場合、後で問題が起きてはいけないので、建築主さんに修繕を
勧めざるをえません。その場合、修繕費は誰が負担するのかと言う問題が発生し、結果的に泥沼の
状態は避けられなくなってしまうからです。

                                               2005年5月15日
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 雑感1-9: 住宅(建物)の新築・増改築をお考えの皆様へ −良 い 建 物 を 創 る に は


 雑感1−1から雑感1−9までで述べて来ました諸々の理由から、

住宅(建物)の新築、増改築をする場合には、まず「信頼のおける設計事務所」を選択し、

「どの様な住宅(建物)を作るのか」
設計者と徹底的に議論、検討を行い

その構想を実際の建物に作り上げる為の、「しっかりとした設計図」を時間をかけて作成し、

数社の「信頼のおける工務店」に見積を依頼し、「最良の工務店」見積額が安くて技術力が有る)を

選定し、そこに工事を委託し、常に、職人が現場で仕事をしている時は、現場監督が常駐し、

職人に指示をあたえ、定期的に建築主、設計者、施工者の三者が打ち合わせを行い、

意志の疎通をはかりながら
完成まで工事を進めることが、

良い住宅(建物)を作り上げる唯一の方法なのです。

                                                 2005年5月15日
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 雑感2: 苦 中 有 楽

 
 建築設計事務所の業務について最近よくよく考える事が多くなりました。
楽しみと苦しみを天秤にかけると、はるかに苦しみの方が重いように感じます。

 最近の景気の動向の中で、建築工事自体が減少し、ますます仕事が減ってきて、他の事務所との競合が
厳しくなり、仕事自体を得る事に苦しみ、そしてやっと仕事を頂いてからが又苦しみの連続であります。

 産みの苦しみと言いますか、計画の段階で、施主様にとって最良のプランを創り出す為に試行錯誤を
繰り返すわけでありますが、これがなかなか思うようにいきません。

 夜中にはたと目が覚めて思い巡らし、会合に出ても頭から離れない。何度もスケッチを描いては消しの
繰り返しをし、予算内で、しかも 「さすがプロ」 と認めて頂ける様にと、プライドだけで頑張り抜く。
そしていつの間にか時間だけが過ぎて行くじれったさ。

 そして、苦闘の末に、これならばと思える案がやっと出来上がった時の達成感は、それまでの苦労が
吹き飛んでしまいます。

 その案を、施主様に提示できる様にキャドで3次元データを作成し、そこで又修正を加え、施主様の
喜んで頂く顔を思い浮かべ、「ニヤニヤ」笑って居る図は或る意味不気味なものなのかも知れません。

 しかし、正にこれが「苦中有楽」であり、この「楽」があるからこそ「苦」に耐えられると思っております。

                                        2005年7月15日
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 雑感3: 引 き 渡 し 時 の 心 情

 
 最近はそうでもなくなりましたが、若い頃は、建物が完成に近づき、いよいよ施主様に引き渡さねば
ならなくなって来ると、とても寂しい思いをしたものです。

 雑感2でも述べましたが、産みの苦しみを経て、やっと気に入った案が出来上がり、施主様に
提示してとても気に入って頂き、実施設計を経て工事が始まり、それこそ手塩にかけて一から
施工者と協力して造りあげた建物ですから可愛くてしょうがないわけです。

 毎日の様に現場に足を運び、微に入り細に入り、丹精込めて育てた子供の様なものですから当然です。
自分に経済的余裕が有れば買い取りたいとまで思ったものです。

 恐らく、若くて実の娘も小さくて、完成した建物と自分の娘をオーバーラップしてしまって居たのかも
知れないと思う程でした。

 最近は、同じ様に丹精込めて造り上げた建物に対して、早く施主様に立派に役に立って喜んで頂きたいと
思うようになって来ました。

 娘も成人して、早く立派な家庭を築いて欲しいと思う気持ちと全く無縁では無い様です。

 そして無事に引き渡しが終わった建物は、娘を嫁がせた様なものですから、とても気になります。
何か粗相をしでかしてないかと・・・・・・・
特に大きな台風が近づくと気が気でなくなります。

 やはり自分が設計監理させて頂いた建物は可愛い娘です。

                                2005年9月15日
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 雑感4: 趣 味 と 実 益

 
 近頃は、趣味の釣りに出かける回数がめっきり減ってしまいました。
いつもお世話になっている釣り場の漁協が筏釣りを禁止したためです。
私は、鯛やハマチの養殖筏に乗せてもらって、五目釣りを楽しむ事を趣味にしています。

 以前は、黒鯛を専門に釣る筏に乗って、年無しと言われる50cmを越える黒鯛を
必死になって追い求めていました。一人で深夜の2時位に自宅を出発し、
釣り場で夕方4時位まで釣り、そしてまた一人で車で帰って来ると言う行程です。

 その当時は、結構余裕が無くて、兎に角黒鯛を釣り上げる事に血眼になっておりました。
従って、行きの車中ではその日の作戦をあれこれ考え、筏の上では脇目も振らずに
撒き餌を撒き、手返しを繰り返し、釣果が無くてもその行為に没頭していました。

 ある日、この余裕の無さに疑問を感じ、「もっとゆったりとした、ほっとする様な釣りは
無いのかな?」と思い始め、今の釣りに辿り着きました。

 すると変なもので、行きの車中は知らぬ間に計画中の建物の構想に思い巡らし、
筏の上では、四季の風情を感じ、特に春には鶯の鳴き声を聞きながら、水面に垂らした糸を
眺めてぼんやりと構想を練っている。そして、釣行の合間に、ハタと思いついた案がきっかけで
構想がまとまったと言う経験が何度もあります。

 趣味と実益は相反する事の様に思われがちですが、私の場合は趣味が実益をもたらす事が
多々あります。趣味こそが実益の源なのかも知れません。

 一日も早く漁協様に筏釣りを解禁して頂きたいと願っています。

                                      2005年10月25日
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 雑感5: 文 明 の 利 器

 
 近頃は、IT革命とやらで、設計事務所の環境も随分変わってしまいました。
10年位前までは、どこの事務所にもドラフターと称する製図用器具が置いてあり、その器具を使って
鉛筆で図面を描いていました。しかし、最近は殆どの事務所がドラフターを処分して、
各自がパソコンを所有し、作図用のソフトを使って図面をパソコンのモニターの中で描いています。

 それより前に、ファクシミリを初めて見た時の驚きは今も覚えています。
どうして電話で文字や絵が瞬時に送られるのか不思議でした。

 ワードプロセッサもそうでした。乱筆の私にはとてもありがたい代物です。
ひらかなを入力して変換すると、見事に漢字の候補を表示してくれるなんて到底想像出来る
ことではありませんでした。

 ただ、この便利な武器も、使う側の意識によって随分意味合いが違ってくる様に思います。

 例えば、前述しましたドラフターですが、版にトレーシングペーパーを貼り付けて、全体を眺めて、
建物の納まりをあれこれ考えながら、何度も描いたり消したりして、紙がすり切れる程でした。
しかし、パソコンのモニター内で作図する様になってからは、全体を見渡せない為に、
建物全体のバランスが悪くなったり、見落としをしたりと、思いがけない事に遭遇し、結局元に戻る事に
なり、かえって遠回りしたと言う経験をしました。

 ワードプロセッサについても然りでは無いでしょうか?あまりの便利さに、それに頼り過ぎると、
いざ手で文章を書こうとすると、漢字が浮かんで来ないと言う経験は誰もがお持ちだと思います。

 但し、写真については、デジタルカメラの出現で随分便利で経済的になりました。
以前は、普通のカメラで写真を撮り、そのフィルムを写真屋さんに持って行き、1日待って
現像された写真を受け取るというスタイルでしたが、今はデジカメで撮った写真を即座に自分で確認し
不要な物は破棄する事も可能ですし、パソコンに取り込んで、見たい部分を拡大する事も可能です。       又、スキャナーも大変便利で重宝しています。

 やはり、文明の利器は、あくまでも人間が目的意識をしっかり持って使いこなし、決して機械に
振り回されない様にしないと、かえって色んな弊害が出そうです。                              

 因みに、当事務所では今でもドラフターを設置して、パソコンで作図した図面をドラフターに置いて、
全体を眺めてチェック出来る様にし、前述しました様な事の無いように気を使っている事は当然ですが。


                                        2005年11月12日

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